いくつか占いアプリを試したことがある人なら、こんな経験があるかもしれない。結果を読んでいて、どこか「自分に向けて書かれた気がしない」と感じた瞬間。言葉は丁寧なのに、なぜか他人事のような距離感がある。Enariaを使った後に「感触が違う」と言ってもらえることがある。その違いは、気のせいではない。
一番大きな違いは、Enariaがセッションの流れ全体を覚えていることだ。Geminiの長いコンテキストウィンドウを活用することで、最初に話した悩みだけでなく、その後に出てきた言い訳や迷い、感情の揺れまでを含めて鑑定に反映できる。「さっきこう言っていたけど、本当はこっちが気になっているのでは?」という読みが、AIにできる。
11種の占術が「その人」のために組み合わさる
Enariaでは、四柱推命・タロット・西洋占星術・数秘術など11種の占術の計算ロジックをクライアント側の関数として実装し、その結果をプロンプトに埋め込む形で処理している。これは単に「いろんな占いができる」という話ではなく、あなたのプロフィールと悩みに対して、最もフィットする占術の組み合わせをプロンプト設計のレベルで選べるという意味だ。誰もが同じ占いを受けるのではなく、あなたに合った視点から鑑定される。
もうひとつ、こだわったのはトーンの自動調整だ。深刻な悩みを打ち明けているときと、軽い好奇心で試しているときでは、同じ言葉でも受け取り方がまるで変わる。Enariaは会話の感情的な文脈を読み取って、共感的に寄り添うか、明るく背中を押すかを切り替える。
3つのトーンパターンと、その違い
具体的にどう変わるのかを、同じ「仕事の方向性」という悩みを例に見てみる。
深刻な悩みを打ち明けているとき——「もう限界で、どうすれば良いかわからない」という文脈では、鑑定の言葉が静かになる。「今は答えを急がなくていい」「この迷いは、あなたが真剣に考えている証拠だ」という寄り添い方になる。断言せず、余白を残した言葉を選ぶ。
軽い好奇心で試しているとき——「今の仕事、星座的にどうなんだろう」という文脈では、明るく読みやすくなる。「今月は行動より観察が吉。あなたが気になっていることを一歩引いて眺めてみて」のように、重くならず、でも的外れでもない言葉が来る。
背中を押してほしいとき——「もう決めようと思っているんだけど、背中を押してほしい」という文脈を読み取ると、エネルギーのある言葉になる。「あなたは十分に考えてきた。今動くことに意味がある」という、決断を支持する言い方になる。
この3つは同じ人の同じ悩みでも、その日の文脈次第で自動的に切り替わる。プロンプトに「深刻モードで」と書く必要はない。
占い師が信頼される本当の理由
占い師が信頼されるのは「よく当たるから」だけではないと、私は思っている。「ちゃんと話を聞いてくれた」「自分のことをわかってくれた」という感覚が積み重なるからだ。Enariaはその体験をAIで作ろうとしている。結果の精度よりも、その人に届く言葉であることを優先した設計だ。