出社していたときは、朝礼で社訓や行動指針を声に出して読み上げるのが当たり前だった。当番が前に出て一節を読み、全員で復唱する。正直、面倒だと思っていた人も多いはずだ。でもリモートワークが当たり前になってから、その習慣は静かに消えていった。オンライン朝礼で画面越しに社訓を読み上げるのは、なんだか気恥ずかしい。結局、誰も引き継がないまま、社訓は入社時の資料の中でしか目にしないものになっていないだろうか。
on-board typingは、もともと社内用語や業務フローをタイピングのお題にして、新入社員が自然と覚えられるようにするために作ったサービスだ。ただ、実際の使い方を考えているうちに、想定していなかった使い道に気づいた。
朝礼をなくすか、無理に続けるかの二択ではなかった
リモート化にあたって、朝礼をやめてしまった会社は多いと思う。声に出す文化自体をなくすのは、寂しいけれど自然な流れだ。かといって、オンラインで無理に音読を続けようとすると、今度は「読まされている感」が強く出てしまう。カメラの前で一人ずつ社訓を読み上げるのは、正直かなりの心理的ハードルがある。
なくすか、我慢して続けるか。その二択しかないように思えていた。
「読む」を「打つ」に変えると、抵抗感が消える
on-board typingでは、管理画面から好きな文章を単語・お題として登録できる。ここに社訓や行動指針の一節をそのまま入れてみると、案外しっくりくることに気づいた。声に出して人に聞かせる必要はなく、画面に向かって一人でタイピング練習をするだけでいい。読み仮名から難易度も自動で決まるので、長い一節でも身構えずに打ち始められる。
「今日の社訓」を朝の数分のタイピング練習に置き換えると、内容に向き合う時間そのものは変わらないのに、気恥ずかしさだけがなくなる。ランキング機能もあるので、単なる復唱ではなく、ちょっとした朝の腕試しにもなる。
これは、作っているときには考えていなかった使い方だった
正直に言うと、朝礼の代わりになるという発想は、設計段階ではまったく想定していなかった。社内用語や業務フローを覚えてもらうためのツールのつもりで作っていたので、「打つお題」に社訓を入れてみようと思いついたときは、少し意外だった。用途を決めすぎずに「好きな文章をお題として登録できる」というシンプルな仕組みにしておいたことが、思いがけないところで効いた形になる。
同じ発想は、社訓に限らず、情報セキュリティのスローガンや行動指針、繰り返し伝えたいのに形骸化しがちな社内ルールにも応用できるはずだ。声に出す代わりに、指で打つ。それだけで、続けやすさは変わってくる。
もし「リモートになってから、社訓や行動指針を伝える機会が減った」と感じているなら、on-board typingの管理画面で、その一節をそのまま打ち込んでみてほしい。