新しい研修ツールを入れて、いざ使おうとログインしたら、画面には何も出てこない。ボタンは全部グレーアウトしていて、何から始めればいいのか分からない。そんな経験、心当たりはないだろうか。

on-board typingは、社内用語や業務フローをタイピングゲームにして新入社員に覚えてもらうためのサービスだ。会社のメールアドレスで登録するだけで、同じ会社の人が自動的に同じチームになる。作っている側としては「これで導入は簡単なはずだ」と思っていた。

「簡単に始められる」と「実際に始められる」は違う

会社を新規作成した直後のホーム画面を、あらためて自分の目で見直してみたことがある。単語が1つも登録されていないから、易しい・普通・難しいの3つのカードがすべて押せない状態になっている。管理者が最初に見るのは、真っ白に近い「何もできない画面」だった。

導入の手順自体は「単語を登録する→メンバーを招待する→ゲームを始める」という3ステップだけで、実はそれほど複雑ではない。けれど、その順番はどこにも書かれていなかった。手順が簡単なことと、それが画面から伝わることは、まったく別の問題だと気づかされた。

機能を並べても、人は迷う

最初に考えたのは、使い方を説明するチュートリアル動画を作ることだった。でもすぐに、それは根本的な解決にならないと分かった。動画を見て理解しても、結局は「じゃあ何を打ち込めばいいのか」という具体的な一歩でまた止まってしまう。説明を増やすことは、迷いを減らすことにはならない。

必要だったのは、説明ではなく「触れる状態」を最初から用意しておくことだった。

今の答え:最初から少しだけ、遊べる状態にしておく

会社を作った瞬間に、あらかじめ用意した業務用語のサンプル(「会社」「取引先」「コンプライアンス」など、易しいものから難しいものまで)を自動で登録するようにした。これで、単語をひとつも自分で打ち込まなくても、その場でゲームを触ってみることができる。

そのうえで、ホーム画面には管理者向けの小さなチェックリストを出すようにした。「社内用語を追加する」「メンバーを招待する」「初回ゲームをプレイする」の3つだけ。終わったステップから消えていき、全部終わればチェックリスト自体も静かに消える。ずっと画面に居座って急かしてくる案内ではなく、必要な間だけそこにいて、役目を終えたら退場する。そのくらいの距離感がちょうどいいと思っている。

伝わるか、正直まだ不安がある

サンプル単語とチェックリストを入れてから、初回ログインの「何もできない画面」は無くなった。ただ、これで本当に新入社員研修の担当者が「自分たちの言葉で使ってみよう」と思ってくれるかは、正直まだ手探りだ。作る側の理屈より、実際に触った人がどこで止まるかの方が、いつも正しい。

もし研修担当者として「業務用語がなかなか定着しない」「OJTの説明に毎回時間を取られる」と感じているなら、on-board typingは会社メールで登録した瞬間からサンプル単語で触れる状態になっている。まずは何も準備せず、開いてみてほしい。