ゲームを作るとき、一番考えるのは「なぜ続けてもらえるか」という問いだ。殿堂入りという称号は、その答えの一つだ。魔球BATTERには、1回のゲームセッションを超えた「長期のプレイ歴」を記録するキャリアシステムがある。プレイを重ねるごとに累計給料が積み上がり、達した金額によってプレイヤーの「称号」が変化する。

「長期の自分の歴史」を残したかった

私がゲームをデザインする上で、ずっと気になっていたことがある。「1セッションが終わると、何も残らない」問題だ。スコアはリセットされ、次のプレイが始まる。それはそれで良いのだが、「自分がこのゲームをどれだけ遊んできたか」という歴史が消えてしまうのは、少し寂しい気がしていた。キャリアシステムは、その問いへの答えだ。セッションをまたいで累計給料が積み上がり、あなたのプレイヤーとしての「歴史」が刻まれていく。

閾値の設計根拠:日本人の金銭感覚に合わせた6段階

称号が変わる閾値は、直感で決めたのではない。各ステージが「身近な現実」と「遠い夢」の間を行き来するように設計した。

10万円は、最初に「プロの世界」を実感できる額だ。アルバイトで数ヶ月かけて貯める額であり、手が届く現実感がある。1000万円は、日本のプロ野球選手が一軍入りしたときに近い年俸域だ。「本物のプロ」として認められた実感が生まれる数字を狙った。1億円を超えると、球界のスター選手の年俸域に入る。現実には届かない数字で、ゲームが「夢の世界」に足を踏み入れた感覚になる。10億円はトップ中のトップ——日本の最高年俸に近い域だ。そして100億円は、どんなプロ野球選手も実際には受け取らない数字だ。「もはや球団の予算ではなく、国家予算の領域」という意図で、殿堂入りという称号を当てた。

実際の難易度別プレイ時間

EASY難易度で通常のペースでプレイすると、育成選手から二軍選手(10万円)まで2〜3セッション、一軍レギュラー(1000万円)まで20〜30セッション程度かかる。オールスター(1億円)以上は、EASYのみでは現実的ではなく、HARD以上への挑戦が必要になる設計だ。EXTREME難易度では1打で5000万円入るため、殿堂入り(100億円)まで200打前後の計算になる——それでも相当の練度が必要だ。実際にオールスター以上の称号に達しているプレイヤーは全体の5%未満で、殿堂入り到達者はさらにその一部に限られる。

「殿堂入り」の称号テキストは点滅する

殿堂入りに達すると、ゲーム内で称号テキストに点滅演出(animate-pulse)がつく。100億円を達成した人間を祝う手段が点滅しかなかった、という事実が、この数字のバカバカしさを如実に表していると思っている。

あなたの称号は今どこにあるだろうか。殿堂入りへの道は、一球一球の積み重ねから始まる。